Love forever ロジャーのためのセレモニー
18日、Ngroras no儀式は100名を超える大勢の人々とBesaki寺院にお祈りに行く日。みんなは早朝からPETAに集まって、100個以上のお弁当を作り、大型バス2台と自家用車10数台で出かけていきました。
私は1人、丘の上の家に行き、窓ガラスを磨き、掃除の仕上げをして、セッティングを整えました。
どうにも風邪をひいてしまったらしく、頭痛とくしゃみ鼻水で喉も痛い・・・それでもこの日は私にとって本当に大事な日。寒さが続くアバビ村の丘の上の家を掃除してから家に帰り、長袖の服を重ね着して靴下を履き、ラビットの毛皮のコートまで着こんで午前二時半、丘に行くと、ちょうどセリーたち一行の車が2台到着したところでした。
セリーとの再会は夢の中のよう。
そして、セリーが帰るまでの2日間は本当に美しい不思議な空間の中にいました。
3月23日に旅先のエクアドルで急に亡くなったロジャーのために、セリーは丘の上の家での特別なセレモニーを家族や親しい友人たちのために、そして最愛のロジャーのために私と計画していました。
西洋の文化には、悲しみを癒す美しい儀式はなく、急に亡くなった愛するロジャーのために受けた心の痛みが家族にとって大きすぎるために、セリーはどうしてもバリの美しい儀式の方法でロジャーを送りたいと望んだのです。
親友のピーターとジェーン、世界中を一緒に廻った親友夫婦へレンとビル、そして、ロジャーの娘フェリシティーと孫のハリー、息子のマイケル、ロジャーの姉マーガレットとその夫スティーブが一緒に来ました。
初めて丘に来たマイケルは身長2メートル3センチののっぽ。そしてロジャーの姉マーガレットはロジャーに瓜二つ。抱き合って親しい再開の挨拶を済ませると私たちは全員で丘の上の家に上がり、明日のためのセッティングをしました。
セリーがプリントしてきたロジャーの写真、そして美しい写真集、私の人形も丘の上の家を飾りました。
午後の日差しが差し込んで、ロジャーの笑顔の温かさでいっぱい。愛のためにみんな笑顔に輝く涙を沢山流しました。
ディナーはジャヌールが心を込めて作ったバリニーズ・ベジタリアン・ビュッフェ。サテはバナナの花で作ってありますがお肉そっくりなお味。
私はこの晩、1人で丘の上の家に泊まり、早朝には掃除をして全てを整え、白いクバヤとサロンに着替えて約束の7時半、下のレストランに降りました。
美しい朝食はすべてジェーンが用意してくれていました。
この日のためにオーダーしたバリの正装できめた淑女と紳士たち。
セレモニーはまずバリアンでマンクーのパ・サヴァのリードで神々と土地の精霊たちに祈り、ロジャーのためのメディテーションをして始まりました。
マイケルの開幕の挨拶のあとに、セリーが用意したロジャーの思い出の品々を入れた木の箱を
炎で燃やす儀式。これもまたパ・サヴァの祈りの後に、セリーが火をつけました。
ちから強いオレンジの炎はロジャーの情熱のように燃え上がり踊り、それは全ての人々の悲しみを焼き尽くすように晴れやかで、形が消えていく悲しさに流していた涙を乾かし、形のない魂という存在の力を人々がそれぞれの心に確信するような時間でした。これは火葬というアジアの方法。シワ神が踊るという火葬の火の儀式と全く同じ方法をセリーが切望していたのがなぜか、私には理解できました。
静かな、すばらしい時間でした。
マイケルが、自作の詩を朗読しました。息子としての感謝と愛を父へ伝える短い詩でしたが、詩人のマイケルの詩は心の中に大きな感動を呼び起こし、聞いた人はみな涙を抑えることが出来ませんでした。
"The Rose”
Some say love, it is a river, that drowns the tender reed
Some say love, it is a razor, that leaves your soul to bleed
Some say love, it is a hunger, an endless aching need
I say love, it is a flower, and you, its only seed
Its the heart afraid of breaking, that never learns to dance
Its the dream afraid of waking, that never takes the chance
Its the one who wont be taken, the one who can't seem to give
And the soul afraid of dying, that never learns to live
When the night has been too lonely and the road has been too long
And you think that love is only for the lucky and the strong
Just remember that in the winter, far beneath the bitter snow
Lies the seed, that with the sun's love in the spring becomes the rose.
誰かが言う 愛は川のようだと
それは穏やかな葦を飲み込んでしまうと
誰かが言う 愛は剃刀のようだと
それはあなたの心から血を流させると
誰かが言う 愛は飢えのようだと
それには終わりのない痛みが必要だと
私は言おう 愛は花のようだと
そしてあなたがその唯一の種だと
傷つくことを恐れていては
ダンスは踊れない
夢から覚めることを恐れていては
チャンスはつかめない
何かを奪われることを恐れていては
何も与える事はできない
そして死を恐れていては
生きている喜びもわからない
寂しすぎる夜や
道が長すぎてあきらめたくなる時
愛は幸運な人や強い人にだけに
与えられると思った時
どうか覚えておいて
冬の厳しい寒さを
雪の下で耐えている種が
太陽の愛を受けて
春にはバラの花を咲かせる事を
セリーはこの灰をバリの方法で小さな椰子に入れて持って帰りました。
今日、ジェーンとピーターが持っているリゾートホテル・フラッシュバックの前の海岸で、その灰を海に流すセレモニーをする予定です。
ロジャーはオーストラリアで教師を務め、教育委員会で役職を務めた後に退職し、セリーと共に世界中を歩きました。その間、サヌールに2年暮らし、この丘の上の私の家に5年間暮らし、イタリアに半年間、マレーシアに3ヶ月、そして南米旅行に出かけたまま、2ヵ月後にオーストラリアへ帰る予定だった3月23日にエクアドルで脳出血のために亡くなりました。
亡くなる前に、ロジャーがセリーに言った言葉は、
「君の大好きなあのアバビ村の丘の上に帰ろう。そしてあの家を完璧にリフォームして、あそこで暮らそう。」というものでした。
ロジャーとセリーはこの家を世界中を旅した中で一番好きな場所で、一番長く暮らした場所だったと、1年前に訪問してくれた時に話してくれました。
村の人々と親しく関わり、子供たちにとって本当にすばらしい存在になってくれた二人。
すばらしい教師、アーティスト、ゴージャスな魅力にあふれたこの二人は永遠に一つです。
セリーはオーストラリアに帰る前にまた、ヘレンとビルと一緒に丘に帰ってくるといいました。
そして、これからのことを考える時に、このアバビ村の丘に暮らしたいと思っているとも。
Love forever.
形が消え炎と共に私たちの魂が全体と一つになる時までは、忙しく、泣いたり笑ったり、生きること・心を開くことをを恐れずに。
by ekadantaya | 2014-07-21 11:31 | Trackback | Comments(0)